今日の父は、朝から頑張ってOS-1を飲んでくれた!
好調な滑り出し。


昼間に点滴を一本。
そのあと夕方に随分頑張って飲んでくれて、今日は夜八時頃で口から摂れた水分が500mlを超えた。珍しく順調。本当に今日は頑張ってくれていた。


なかなか口をあけて食べることは難しいけれど

今日は、近所の中華料理屋さんのスッポンスープをテイクアウトしてきてゼリーにしてみたら

一口だが、口を大きく開けて食べてくれた。



このお店の店長さんは昔馴染みで、父の酔っ払い武勇伝を様々ご存知の方だ。
なので、父も行きやすかったこともあり


一人暮らしをしていた頃外食したくなると、父を呼び出しては一緒に来た。



父と最後に二人で外食したのもこのお店。
その時のことははっきり覚えている。



父はいたく上機嫌で、十八番の弁士の口上のようなものを次々披露してくれた。もう、家族は聞きあきている父の持ちネタだったが、笑った。



当時私は月の半分以上は生中継の仕事をしており、翌日も朝からOAがあったため
実家にはよらずに、駅前で父と別れた。



その頃、はっきりと認知症だとはわからなかったが、老いたことが生活面に現れはじめていた父に

「信号ちゃんと見てよ!」
「車に気をつけて!」

なんていいながら


手をふって応えた父の後ろ姿をずっと見送っていた。



あれが虫の知らせというものなのかもしれないが

「お父さんとこうして食事するのはこれが最後かもしれない」
となぜか思ったことを覚えている。



私は父が五十近くになってから生まれた子なので、その時すでに八十を超えていた父に対しては、頭の隅に、一瞬一瞬を大切にしたほうがよい…との考えがあった。



それでも、あの時
父の後ろ姿をずっと見送ったのは、何かしら不思議な勘のようなものがあったのだと思う。



それからまもなく、父は脳梗塞に倒れ、回復はしたものの、認知症の症状が進んでいった。



今日はそんなことを思い出しながら、久々にその中華料理店に行った。


懐かしの味、父はわかっただろうか?