今日は、初めての入浴サービスを利用することになっていた父。
もう十日以上入浴できていないし、身体がカサカサで痒がってしかたがない。
やっとお風呂に入れることを我々家族としても楽しみにしていたのだが


結果としては、今日お風呂には入れなかった。


入浴の際には看護士さんが来て、血圧や体温を計り、入浴可能な体調かどうかを調べる。
今日の父の血圧は、上が70という低さ。微熱もあり、入浴は中止に。


訪問診療の先生に診察して頂き、点滴の対応となった。


よく笑うようになったり、表情が豊かになってきた父の姿をみて、ホッとしたり嬉しかったりしているけれど


体調が良いというわけではないのだということを痛感した。


薄氷の上でフィギュアスケートをやっているようなものだろうか?
目にする滑りに、躍りに、観ている者が拍手をおくって感激しているその瞬間にも、氷が割れてしまう脆さを孕んだ感動である。


しかしもう滑りだしているからには、氷が割れる心配をするよりは、満足のいく滑りをできますように…といった気持ちだ。

ただ、氷のメンテナンス…製氷には細心の注意をはらわねばならない状態。あらためて、気を付けなくてはと思う。


そんなふうに、シビアな気分にもなった今日だが、それでも父の様子には家族で大笑いすることもあった。


なかなか口を開けて食べてくれない父に対して、母が
「お父さん、愛してるから食べて〜」とふざけると


「フフン」と呆れたような苦笑い!

一瞬、昔に戻ったような表情をみせてくれた。


どうやら、意外に色々わかってきたように思える。


飲む点滴のOS-1には「プイッ」と横を向いてしまうので、今日は甘酒を買ってきてみて

「お酒だよ!」(全くアルコールは入っていないが、一応名前としては酒である)
と言ってみると、すすんで飲む! 呑む!


さすがノンベエ!


昔よく、父とは差しで呑んだものだ。
母がいないときに
「今日はお母さんいないから、どーんと呑もう!」なんて、二人で呑んだくれたり。
普通、娘を持つ父親なら
「女がそんなに呑むな!」とか言いそうなものだが、父は私に対して、そういった説教めいたことは一切することなく、なんだか呑み友達みたいな関係だった。


ある日、父と呑んで私が酔いつぶれ、トマトを握りしめて廊下で寝ていたことがあった。


「血を流してるのかと思ってビックリしたんだよ〜!」と笑って母に報告した父と私は

「笑い事じゃありません! みっともない!」と叱られた。
そんなときも、父と私はコッソリ顔を見合わせて舌を出すような…

普通の父娘というより、本当にやはり呑み友達。

今日は
「まぁまぁ、一杯どうぞ〜」と、昔のように、父に(甘)酒をすすめて二人でニヤニヤした。



ぶんご銘醸 麹天然仕込 酒蔵のあまざけ 900ml

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