仕事のことはあまり書きたくないのですが
好きな競馬についてなので、書いておきます。


本日は、大井競馬場にて、NHK文化センターの競馬教室講師の仕事。
私が講師なんておこがましいというか、ネームバリューがあるわけでもなし
「いいんか?」
と思いつつ、以前南関東地方競馬中継のキャスターをしていたときの番組の制作がNHK関連の会社であったご縁で、かれこれ五年、勤めさせて頂いた。


NHK文化センターというカルチャー教室の生徒さんは、圧倒的にご高齢の、それもご婦人が多い。

「競馬なんて…」と眉をひそめる方々という世代、という(申し訳ないが)先入観があり、受講してくださる方がいらっしゃるのかと不安に思いながらの講座だったが、思いの外、競馬に興味をもたれる奥様方は多く、奥様がご主人を引っ張ってこられたケースも多かった。


競馬…だけでなく、公営競技全体が、下り坂のこの頃だ。
かつて、何度か競馬場の廃止を自分の口からニュースとして発し、ある競輪場の廃止ではひとつ仕事を失った。


公営競技の斜陽は、不景気の影響で個人の投資額が低下したこともあるだろうが、若い客がつかないということもおおいに影響しているだろう。

競馬については
私の世代は、ダビスタオグリキャップブームで、競馬が若者の娯楽として認知されるようになった世代である。バブルの後押しももちろんあった。


しかし、もしも今再びスターホースが現れたとて、好景気に世間がわいたとて、競馬場に若者が(一定数はいても)押し寄せるとは思えない。



公営競技場へ行くと、おじさま…というより、おじいさまだらけだ。特に競輪場は。昭和にタイムスリップした気分になることも少なくない。


公営競技は、若者を取り込むことよりかは、もう年を経た後の、大人の愉しみであることを強調したほうがよいのではないかと私は思う。

公営競技は、わずかな入場料で、百円からできるチープな娯楽である。リタイア後、生活を切り詰める必要があっても大丈夫。


自制心さえあれば。


ギャンブルで身を持ち崩す…とはよく聞く話だが、それはギャンブルそのものが悪なわけではなく、賭ける側の問題だ。


そんな危険を孕んだ愉しみならなおさら、人生経験を積み危険を学んだ大人…高齢者にこそオススメではないか。


六十、七十代からのスタートでも、九十代までにはベテランになることが可能だし、公営競技は知的な推理ゲーム。脳のトレーニングにもなる。
実際講座には、マークシートをテキパキとさばき、数万円を手にお帰りになる89歳のベテランの方がご参加くださったこともあった。


ささやかに年金を増やそうと目論む方もいれば、ありあまる? 金を退屈しのぎに落とす方もいらっしゃる(ご祝儀をくださったりする)。
公営競技場では、様々そんなご高齢の方々と出会うものだが


この五年ほどカルチャーの講座に携わってみて、公営競技が開拓すべきは、ご高齢の、特にご婦人の方々だと私は思った。


講座を受講してくださったご婦人方は口をそろえて

「一度、行ってみたかったの!」

とおっしゃる。
そして、女性特有の順応性と好奇心を示され

「ハマっちゃいそう!」
との感想を述べられる。


ただ、最初の一歩に勇気がいるだけ。なんだか怖いし、汚いかも…とか。

しかし行ってみたならば

「悪くない」
「怖くない」
「意外にキレイ」

などの感想をを伺う。
そのような方々の、観劇や旅行などの娯楽のリストに、公営競技を加えて頂くことは可能ではないかとの感触を得た。


ギャンブル…というと、どうしても悪いイメージもあることは否めないが、講座においては、競馬の歴史や血統のロマン、一頭の馬をレースに送り出すためにどれだけの人の努力と想いがあるか…などをお伝えし、競馬に対する興味を持って頂けるよう、競馬のイメージアップになるよう、実に微、微力ではあるが、なにがしか競馬の集客に貢献したいと務めたつもりである。私の自己満足かもしれないけれど…。



競馬場、公営競技場に若者が集まり新規のファンが増えればそれは嬉しいことだけれど、いっそのこと
「リタイア後のご夫婦の共通の愉しみ」
とか
「有閑マダムの娯楽」
とかに特化して集客を試みてもよいのではないかと思う。


だって…

「初めて馬券を買ったわ!」
と目を輝かせて仰ったご婦人の馬券を拝見すると


単勝に一万円!


とかあるのだから…。



そんな講座も、ひとまず今日で終了。
ほんのちょこっと、ちょっぴりでも、競馬に貢献できていたら…と願うばかりです。