「この警察小説がすごい」

「このミス」の宝島社からでた
「この警察小説がすごい!」を読んだ。


今、空前ともいえる警察小説ブーム。ミステリーといえば「警察小説」ともなっている現状では、こういった企画のムックが出版されるのも頷ける。


さて…ランキングをみてみた。
50位以内のものの中、未読は15冊。
すべてを読破しているわけではないのに文句をいうのはおこがましいかもしれないが…
ちと納得がいかぬ!


私は読書が趣味で、ジャンルはノンフィクションからハーレクインまで乱読。
その内、ミステリーが七割を占め、その内訳はほとんどが警察小説だ。


なので、随分と多くの警察小説は読んできた。しかし、もちろんすべてを知っているわけではないから、宝島社のランキングにケチをつけるなんてそんな資格はないのかもしれないけれど…

うーん、やっぱり納得いかない。


まぁ、上位三作の

第三の時効
「百舌の叫ぶ夜」
「警官の血」

などは納得。
おおむね、上位十作品は、たしかに良作。


しかし、ベストテンに、新宿鮫シリーズと隠蔽捜査シリーズから二作ずつランクインしているのはいかがなものか。


両シリーズとも、第一作は、それまでの警察小説とは違った新鮮さがあったことはわかるし、ランクインすべき作品だとは思うが、ベストテンに二作ランクインとなると
そこまで他の作品を凌駕していただろうか? と疑問に思う。


とはいいつつ、今野氏の安積班シリーズの大ファンで、長年氏の作品を書店で手に入れがたく図書館巡りをした経験を持つ身としては、このようなランキングは嬉しい限りではあるが。



作家別のランキングでは

横山秀夫
今野敏
佐々木譲
大沢在昌
逢坂剛
結城昌治


これは納得。


しかし
作家ランキング、作品ランキングをみて

「なぜこの作品がない?」とか
「この作家はランクインしないのか?」

と不思議に思ったりした。


また、ベスト50に入るのは妥当だとしても

籠籠より××が下なのか??
とビックリしたり。



このムックのランキングは、ミステリーファンの賛同を得るものなのか。
皆が「そうだな〜!」と思うものなのかどうか、知りたいものだと思う。


個人的には、ベスト50に
麻生幾氏の作品がなく、ジャンル別に作品を紹介する章にも登場していなかったことに驚いた。

小説の完成度としての評価が低いのかもしれないとは思うが

ノンフィクション作家であった氏の公安警察に関する描写は異彩をはなっていたと思う。


また、同じくノンフィクション出身の永瀬隼介氏の作品も、もうちょっと評価されてもよいのでは? とか。



柴田よしき氏のRIKOシリーズが、女刑事ジャンルとして紹介されていなかったことも腑に落ちなかったり。

ベストテンには入っているものの、やっぱり高村薫氏はもっと評価されるべきだろう!
と感じたり…。


あと、ジャンル別オススメ本については



警察小説の特集ならば

元警察官の方々の小説も紹介して頂きたかった!

もしかしたら小説としては稚拙だったりするのかもしれないが

もと「本職」ならではの面白さがあると思う。

警察ジャーナリストの警察OBの方で何人かが、ジャーナリストとしての活動の傍ら、一、二冊小説も書いていらっしゃったりするが

元警察官で「小説家」として活動されていたのが佐竹一彦氏。ご著書の「ショカツ」はテレビドラマ化もされた。
若くして亡くなれたのが残念だ。

現実の現場を知っている方ならではの作品も、とりあげてみたら面白かったのではないかと思う。


さて、今回読んでみた「この警察小説がすごい!」だが


未読の警察小説をいくつか知ることができて興味がわいた。
暇をみつけて読んでみたいと思う。



蛇足かもしれないが

私的警察小説ベスト5(国内)は


「レディー・ジョーカー」 高村薫



第三の時効横山秀夫



「新宿警察」 藤原審爾



「残照」 今野敏



「zero」 麻生幾


です。


ただ、五つに絞るのは大変難しかったので、近々ベスト10に書き直すつもり。