新日本プロレスG1浜松大会 棚橋対真壁

G1浜松大会。新日本プロレスワールドで観戦。
今日は生で観たかった…


セミのAブロック、棚橋対真壁。

G1のこの二人の対戦はいつも有り難く観る。
序盤は腕の取り合いから始まり、脚を固めるグラウンドの攻防は、我々世代からみるとまさに「新日本プロレス」という闘い。
最近は華やかにスピーディーなファイトがみられる新日本プロレスだが

かつての「ストロングスタイル」というか「猪木」の遺伝子を唯一、かろうじて受け継いでいるようにみえる真壁と、猪木のスタイルに抗い、己の新しいレスラー像にこだわり続けることによって地位を築いた棚橋。
棚橋はデビュー戦の相手である真壁との闘いでは
ヤングライオン時代を思い出させるような
基本の動きをみせてくれる。
一方真壁も、普段の暴走キングコングとはちょっと違う表情をしての闘いだった。

あの暗黒時代からは今の隆盛が信じられない新日本プロレス
暗黒を乗り越え今の繁栄があるのは、間違いなくこの二人のおかげであると思う。
まぁそんなことは言うまでもなく、みーんな、プロレスファン、新日本プロレスのファンはそう思っているだろう。

冷めた冷ややかな反応が大半を占めていた時代から
会場に熱が戻ってきたか?
と感じたのはヒールに転じ、GBHを率いた真壁への反応だった。
それに引きずられるようにして、完全なベビーフェイスとしての棚橋の地位も確立していったかと思う。

「太陽」があかるく光り輝くことができるのも、それを際立たせる漆黒があるから。
そして逆もまたしかり。

この明と暗、太陽と月がはっきりとしたからこそ
独自の世界を表現した中邑の覚醒は、これらの恩恵をうけて産まれたものだったかと。

いや、突出した中邑の存在なくしては真壁の奮起はなかっただろうから…

三者の三すくみというか、あの頃に新日本で踏ん張ったレスラー達にはファンとして感謝しかない。

棚橋と真壁は、年齢的には昇っていく二人ではない。
しかしベテランならではの意地を魅せてくれるスター達だ。
素晴らしいレスラー達が数多く切磋琢磨する新日本プロレスだが
彼らが皆「スター」では未だないだろう。

棚橋、真壁は「スター」の地位を得た存在といってよいのではないか。

露出度や知名度はスターの条件ではある。
それでも
真壁、棚橋がメディアに出ていくことは凄いことではあるが、それだけでスターとはいえないように思う。

暗黒の時代を乗り越えた、その働きにファンが感慨をおぼえており
また
今の旬の闘いを越えての
「オールタイム・ベスト」といえる闘いをしてくれる信頼があること
これが彼らをスターたらしめる歓声を呼んでいるのだと思う。


真壁のノーザンライトスープレックス、ホールドする姿がみられたのは感激。
最近は毎試合あの美しいブリッジをみせてくれるわけではないから、みられた時の有り難みが凄い。

レスラーの必殺技やトレードマークの動きは、それをみられたらもう、入場料分の価値がある!と思うもので
オカダのドロップキックとか
高山のロープ越えの入場とか
古くはディック・マードックのお尻とか(これはちと違うか?)
それぞれのレスラーに色々あるが

真壁のスープレックス「ホールド」を観たときは
ありがたや〜と思う。
やっぱりブリッジが相当大切だった頃の新日本プロレスを観て育っているので…
私はどうしてもブリッジの美しさが選手の良し悪しをみるときの大きなポイントとなってしまうのだ。


最後は棚橋のハイフライフローでフィニッシュという
これまた有難いシーン。


活きの良い若者たちの弾けるような闘いもワクワクするが
やはり一年に一度は
真壁と棚橋の魂がぶつかる
シングルの闘いをみて
しみじみとこの二人に感謝をしたい。

身体能力比べでもない、技の品評会でもない、
ハートを揺さぶってくれるものが
私にとってのプロレス。

熱かった! 面白かったです。



※レスラーの方々についてはリングネームを尊敬をこめて、敬称なしでそのまま呼ばせて頂きます。お許しください。